「菊次郎とさき」第9話

菊次郎とさき 第9話「落陽」
ゲストに佐藤二朗


ああああ、やっぱり青年編せつねええええ。でも青年編も、少年編ありきの面白さだと思いますけどね。つーかまず、菊次郎(陣内孝則)とさき(室井滋)の老けっぷりに泣ける。メイクは正直それほど凄いとかいうわけじゃないんだけど、2人の演技が凄いんだなあ。途中で思い出シーンがところどころ挟まれるのも卑怯。
また菊次郎とさきの反応の違いにも泣ける。有名になってもてはやされる息子を喜ぶ菊次郎と、逆に疎むさき。2人ともそれが息子を想っているからこそっていうのがよく分かるからこそ切ない。しかもそれを言葉で語らせるんじゃなく、小道具で表しているところがまたいい。そして塚本君がちゃんと「ビートたけし」に見えてくるから不思議だよなあ。改めてキャスティングした人はすげーと思う。


そしてもうひとつのテーマはお金。あの預金通帳はやっぱり思った通りというか、大体予想がついていた展開なのだけれども、菊次郎が渡した1万円のエピソードっていうのが、最初のタクシーでの1万云々という話に繋がってて唸ると同時に泣けた。冒頭の「釣りはいらねえよ」っていうエピソードは確かどこかで聞いたような気がするので(だけどたけしだったかどうかは微妙)たぶん実話だと思う。そうやって運転手に1万ぽいとあげちゃうぐらい儲かってる武(塚本高史)に、「おいこれ持っていけ。母ちゃんには内緒だからな」とこっそり1万円あげる菊次郎、そしてそれをタクシーの中で握り締める武……っつー一連のエピソードが綺麗に繋がってて、やっぱり脚本の完成度はすごいなーと思いました。その前の引退宣言も効いてるよなあ。あああ、切ない。


ただ、来週はまた少年編に戻ってしまうのはちょっと残念。なんだかあまり少年編、青年編を行ったり来たりすると落ち着かない感じがちょっとするんだよね。前回みたいに最終回は少年編、って感じならいいんだけどさ。今考えればあれはあれですっきりした終わり方だったように思う。