「セクシーボイスアンドロボ」VOICE07

セクシーボイスアンドロボ VOICE07「ハンバーグさん」
ゲストにモロ師岡高橋一生江口のりこほか。

「いてーんだよ、ばかやろー。って言っちゃえばいいのに。勇気を出して言ったら…………言わない方がいいか。あれはあれで、微妙なバランスで成り立っているらしい。私は、ヒーローでも何でもない。ヒーローなんて、日頃言いたい事を言えない、やりたい事をやれない大人たちが作った、空想の産物だ。言いたい事がこれっぽっちも言えない私は……悲しい。私のお姉ちゃんにナイフを突きつけている男の人も、伝えたい事が伝えられない、不器用で、悲しい人だった」


今更ながら感想です。ドラマも今クールの軒並み終わったしレビューを書くドラマもないのでようやく書く気になりました。ドラマ自体はだいぶ前に見ているのですが、とりあえず事前に見返しました。ちなみに冒頭の台詞は一部削ってあります。
で、肝心の感想。こういうシチュエーションコメディって、最近ではすげー珍しいんじゃないかなあ。どうしてもダレちゃうからなー。でもこの回は見事に9割方レストランのシーンでしたからね。脚本ももちろん構成力が良かったのですが、やっぱり役者が上手いんだなーこのドラマ。視聴者を飽きさせないような演技をしてくれているもんだから、見てても全然ダレることがなかった。まぁナイフを突きつける→閉じこもり事件、のくだりは若干強引な気もしなくもないんだけど、この強引さまでも含めてこのドラマだったなーと思い出しました、はい。
途中のなんでもないような林家&ロボ(松山ケンイチ)の会話にも、ちゃんときちんと伏線を張ってあったのが上手い。バッグとか、帰りが遅いとか、あの口喧嘩してる最中に明言してるんですよね。誕生日プレゼントのお面も、まさかああいう使われ方するとは思わなかったからなるほどと思いました。そのお面をかぶって1人ずつ心情吐露していくあのシーン、凄く好きだなー。よくよく考えればありえねーって感じなんですけどね。このドラマって雰囲気がきちんと固められてるから、あまり矛盾点とか感じたりしないんですよ。レジに居る教授(麻丘ルリ子)の「お会計、1億円です」とか、きちんとニコ(大後寿々花)の能力が使われていたとことか、いい所は色々あったんですけど、でもやっぱりあのお面をかぶってみんなが色々言うシーンが僕は一番良かったと思います。
実は最初「もしかしてハンバーグさんは相手の女にそそのかされて横領したんじゃ?」と思ったんですけど、そんな単純なストーリーじゃなくて、それもまた良かったです。だからといって現れたりするわけでもなく、最後に電話がかかってきて(それもその相手かどうかは分からない)応答をしたのがハンバーグさん(モロ師岡)ではなく声を変えたニコだった、っていうのも良い流れだと思いました。今回の声の使い方が全話の中で一番良かったかもなー。
あぁ、そういえば最後のハンバーグさんの「やっぱり、待ってて良かった……」ってのも凄い良かったなあ。ちょっとグッときました。待ってた人が来る、という安易な解決法じゃなくて、こういう形でオチをつけるのは個人的に凄い好きだー。オチといえば、エンディングが最後に切れてタイトルがどーん!という演出を久々に見て鳥肌立ってしまった。この終わり方本当かっこいい。


ただ不満点がいくつか。あの外国人女性、もうちょっと絡んでくると思ってたんだけどなー。写真ぱちぱち撮ってたから、後でなんらかの形として絡んでくると思ってたのに。それと高橋一生君の出番が少なすぎ。個人的に高橋君の演技が好きなので、あれだけの出番はちょっともったいないと思いました。
放送中止については今更どうこう言っても仕方ないので、もう何も言いますまい。久々に見たセクロボでしたが、やっぱり面白かったです。今期のドラマとはやっぱ格が違う。これを見た後プッチーニという流れとなる予定で、間にポイントとなるこの回が無かったのとあったのではだいぶプッチーニの回の受け取り方が違ったと思うので、その点ではちょっと残念でしたけどね。

「相手の人が本当に居たのか居なかったのか、私には分からない。私に分かるのは、ハンバーグさんの想いが、本物だったという事だけだ。この先、私はずっと、誰かに何かを伝えなきゃいけないんだ。私の心の中は、私しか知らないんだから。私はヒーローにはなれないかもしれない。でも目の前の大事な人に、思いを告げる事はいつだって…………できるんだ」