朱川湊人『花まんま』

幼かった妹が、何故かいきなり大人びた言動をするようになった。そしてその行動には理由があった……関西を舞台にした、「昔を語る大人」の6つの物語。

花まんま (文春文庫)

花まんま (文春文庫)

朱川さんは出してる本は結構少ないと思うんだけど(そういやこの人の長編読んだ事ないや)結構好きです。ノスタルジックホラーって言葉がぴったり。ホラーって言ってもドロドロぐちゃぐちゃした感じではなく、上品な感じなんだよな。そしてノスタルジックといっても、懐古主義的な感じは全くしない。そういうのが好きです。大体どれも似通ってるなーって感じではあるんだけど、それでも面白いんだよなあ。そう考えると「白い部屋で〜」は異質だったな。


しかし直木賞作品で面白いっていうのはちょっと初めてだったかも。僕もそれほど読んでるわけじゃないけど、『プラナリア』も「うーん?」って感じではあったし。というわけで表題作である「花まんま」は良かったです。僕も兄だから、とかそういうの抜きでよかった。
あと好きだったのは「妖精生物」だったかな。あの官能感はなんとも言えない感じで、そして一番怖かったよ。他が全部いい話っぽいのが多い中、この話の怖さが際立った感じでした。