本谷有希子『生きてるだけで、愛。』

生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)

生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)

自分がマイノリティであることがまるで世間から迫害されている理由だと思い込み、そしてそのマイノリティな部分を挙げ連ねては「だから自分は人一倍苦労してるんだ」「だから自分はもっと優しくされるべきだ」と声を上げる人が苦手です。これはそんな小説。いわばメンヘラな主人公が奇行を繰り返して「私は私らしく生きたいのにそれは世間からは認められない」「何不自由なく育っていそうな人が苦手」とか言うだけ。そんでもって主人公は自分からは何もしようとしないんだよね。
「この小説は何が伝えたいのか?」っていう感想あるいは問いかけって個人的に凄く無意味だと思っていて、だって書く人って大抵は「こういうのが面白いと思ったから」「こういうのが書きたかったから」って理由なのにそういう問いかけってなんの意味があるの? 別に何かを伝えようと思って書いてる人ばっかじゃないんじゃない? とか思ったりして。でも久々に「何が言いたいか分からない小説」に当たった感じ。
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』がすごく良かったので期待してたんだけどなぁ。残念。