『20世紀少年 最終章〜ぼくらの旗〜』

登場人物が多いから仕方ないのかもしれないけど、シーンがころころ変わるので散漫なイメージを受けたなぁ。でも二章の詰め込み具合に比べればだいぶマシ。原作者が脚本に関わってるから当たり前なのかもしれないけど、見せるべきシーンをきちんと見せてるって感じ。原作と違って変な伏線張ったりしてないしね。張るべきところも微妙に張ってない気もしたけど。でもなかなか盛り上がりました。「原作のあのシーンだ!」的な楽しみもいっぱいあったしね。
あと演出も良かったなー。なんだかんだ言って堤さんの演出は好きだしなぁ。あとキャストもやっぱり上手い人勢揃いだしね。それだけでやっぱり見応えがあるってもんですよ。カメオ出演的な脇の俳優もなかなか渋い人選だったし(高嶋弟とか岡田義徳君とか)。ともだち役の例のあの人も出番は少なかったけどさすがインパクトあった。まぁ喋り方とかですぐ分かっちゃいそうなもんだけどねw>ともだち役。
平愛梨ちゃんはやっぱり表情が最後まで固い感じでちょっと残念。あと氷の女王一派がみんなイケメン揃いだったのがなんか面白かったです。載寧君もいたよね? すぐ殺されちゃってたけど。
あと神木君の演技を久々に見たのですが*1普通に上手くてホッとした。なんか一時期下手になっちゃってたよね? しかしいい年の取り方をしてるよなー。小池徹平みたいな将来とっちゃん坊やになりそうな感じじゃなくて、着実にイケメン俳優の道を歩んでる気がするよ。もう「神木きゅん」とか呼べないのね……
とりあえず「原作を実写化」という意味では大成功だと思います。再現率半端無かったもんなー。あ、あとEDになっても帰っちゃダメですよ。その後も結構ある上にお話としてかなり重要ですから。


以下超ネタばれあり。感想というよりは気になった点を挙げてるだけなんだけどなんかすげー長くなってしまった。


では気になった点をいくつか。
まず思ったのが「この人たちは元から絶つという事を知らない人たちだなぁ」ってこと。わりとすんなりともだち本部に入れるんだから、ともだちを捕虜にするなり本部爆破させるなりすれば良かったのに……と思った。まぁそうしたらお話として盛り上がらないから、ってのが結論なんだろうけどねー。だってそうなったらキリコさん(黒木瞳)が必死で作ったワクチンも*2カンナ(平愛梨)が万博に集めようとしてたのも全部無駄になっちゃうわけだしね。でもその一方で助からない人たちも絶対出てくるわけで、そうなると春波男(古田新太)が「ハロ〜ハロ〜」と歌うシーンにかぶせて通行人が血をどばどば吹いて死んでいく、ってシーンは一体何を言いたかったのか? となるんだけど……状況を皮肉った意味だったのかな? よく分からん。
あとヨシツネ(香川照之)が実はともだちのふりをしていた! っていうのがあったけど、あれを意味するところがよく分からん。金曜ロードショーでやってたのを観た時ともだちが眼鏡を外してて、あそこで「もしかしてともだち=ヨシツネ?」と思ったんだけど、結局あれって伏線でも何でもなかったってこと? 状況を見る限り、防護マスクのセールスマン以降の話だよね、ヨシツネがともだちの格好させられたのって。あと無理やりその格好させられたのは分かるけど、だからってあの機械を操縦してる意味もよく分からなかった。ともだちに共感して手伝ってしまったとして、それなら泣いて許される問題じゃないよね? 脅されてとかならまだ分からなくもないけど。まぁそれでも色々疑問点は浮かんでくるのですが。とにかくあそこでともだちを二人にした意味がよく分からなかった。ミスリードとはちょっと違うみたいだし。
それとあのヤマネ(小日向文世)に殺されたともだちの替え玉だったけど、あそこらへん結構あっさりしてたけど正直色々分からないw ヤマネが殺そうとしなかったらどうするつもりだったんだ? そこで13番(ARATA)の出番、ってことだったのかなぁ。あとそのシーンの直前でオッチョ(豊川悦司)がヨシツネを疑ってたけどあれもなんだったんだろう。さっきも書いたけどともだちのふりをしたのはそのもっと後の話なわけだし。それにちょっと記憶が曖昧なんだけど、防衛軍のバッジを盗ったって苛められてたのはヨシツネじゃないよね? ヨシツネはただお面をかぶって歩いてて、間違えられて苛められてただけだったと思うんだけど。それなのにバッジを見てオッチョが「ともだち=ヨシツネ」って思うのは理由になってないよー。


でもあの巨大ロボットを横倒しにするシーンは凄い良かったです。オッチョが助けに来るところなんか特に。原作を踏襲しつつよく出来てたし、演出も素晴らしかった。まぁあのロボットがどこに向かってるか? っていうのが無かったのが気になったけど(あの原っぱの中のボタンを押そうとしたんだったよね、原作では)。それよりも万丈目(石橋蓮司)ですよ! ねぇあれでいいの、あんなおマヌケな死に方でいいの!? って思ってしまったよw
それとともだちの正体については原作よりも断然分かり易くて良かったな。きちんとカツマタ君がどういう経緯でともだちになったのか描かれてて分かり易かったし。カツマタ君がサダキヨのお面をかぶってた理由もきちんとあったしね。ただフクベエになりすました、っていうのはだいぶ無理がある気がしたけど……いくらなんでも一人ぐらい死んだの覚えてる奴いるだろー。それだったらまだ「フクベエを殺して整形してなりすました」とかの方がすっきりしてたかな。
あとサダキヨ(ユースケサンタマリア)についてはだいぶ描写不足だった気がする。子供時代ともだちに一番関わってた人間のはずなんだけどなー。登場人物が基本的にいい加減に描かれてる感じは凄いあったんだけど*3サダキヨって重要人物だと思ってたんだけどなぁ……


あと思った。ケンヂ(唐沢寿明)って妙に英雄扱いだけど実はあんまり何もしてないよね。実際諸悪の根源なわけだし。ラストのシーンは良いシーンっぽかったけどなんか誤魔化されてる気がしなくもない。だってあれ所謂パラレルワールドみたいな感じで、実際にカツマタ君(神木君Ver.)が救われたわけじゃないし……そしてパラレルのはずなのに「スーダララー」がカツマタ君の口から出てくるのも謎。ケンヂに恨みを持ってるはずなのにケンヂの友達になろうとして、挙句そのケンヂの描いた物語そのものをやってのけようとしたともだちの行動原理も理解不能だー。まぁ基本的に最初から最後までともだちは何がしたかったのかよく分からないんだけどさ。
あっでも「スーダララー」の妙に耳に残るフレーズは素晴らしいと思います。歌自体は特になんとも思わないけど。


結論としてはやっぱり尺不足な感じです! 映画の区分けは間違ってはないと思うんだけど……もう一年ぐらいの長丁場連ドラにしちゃった方が良かったんでね? とそんな感じもしなくもないです。なんだかんだ結構面白かったとは思うんだけどね。前述したけど、ここまで原作を忠実に実写化出来たってだけで充分凄いと思うし。

*1:赤鼻は結局見なかったから、探偵学園Q以来かな?

*2:このシーンは原作の中でも結構好きなんだけどね

*3:高須とか蝶野とか漫画家とか