『なくもんか』

まあ予告からしてもっと笑える感じのお話かと思ったけど、予想以上にシビア。つーか結構きっついよ、これ。台詞でいくつかぐさぐさくる部分あったもん。良くも悪くもクドカンらしさはなくなってしまった映画だなあ、という印象。クドカンの独特のテンポや笑いが今回は感じられなかったのが残念なんだけど、ただ登場人物の感情が展開によって左右されすぎる部分が今回はほとんどなかったのが良かったかな。登場人物はそれぞれ良かったんだけど(役者もみんな良かった。竹内結子は本当なんでも器用にこなすよなー。あ、でもはいりがあれだけというのは結構不満ですw)一番良かったのが大介(塚本高史)かな。塚本君が上手いっていうのもあるんだろうけど、大介のキャラクターのいい部分悪い部分含めて一番丁寧に書かれてた印象です。


ただ、全体的に詰め込みすぎ。それでいて無駄に長いので(二時間半ぐらい)正直ちょっとだれてたよ。「あれも書きたい、これも書きたい」と欲張って無理に詰め込んで、その結果結局どれもきちんと書ききれず……って印象は大きい。もっと兄弟の話にスポットを当てて削れる部分は削った方がいいと思うんだけどなあ。兄と弟それぞれが、家族ではない疑似家族の中に(赤の他人の家に引き取られたりとか、他人の子供を育てたりとか、兄弟のふりをしたりとか)おさまっているっていうテーマはいいと思うんですけどねえ。やっぱりクドカンはドラマ向きなんじゃないかなあと思うよ。
構成も正直上手いとは思えず。特に沖縄前後のぐだぐだ具合は結構ひどかったなあ。陣内さんもすっぱり切っちゃって良かったと思うよ。


でも、『少年メリケンサック』『鈍獣』に比べたらかなり面白かったです。というかこの二つがつまらなさすぎたっていうのがあるんだけどさ。クドカンは最近やたらめったら脚本書きまくってるみたいだけど、出来ればじっくり一つのお話を書いてほしいなあ。いい部分はいっぱいあるんだから、もっときちんと掘り下げられると思うんだよね。