『極限脱出 9時間9人9の扉』

一言で言うと「せっかくだから俺はこの扉を選ぶぜ!」ゲームです。

極限脱出 9時間9人9の扉

極限脱出 9時間9人9の扉

いやはや面白かったです。脱出パートと小説パートに分かれてるのですが、脱出パートが思いの外簡単なので*1、さくさく進めました。とかいいつつ分岐は結構難しかった……最終的に渋々攻略サイトを頼ることに。すると見事に全バッドエンド5つをクリアし、真エンドをラストにクリアするという、一番楽しめた形になってしまいましたw バッドエンドにも伏線がかなりちりばめられているので、これは怪我の功名というやつですかね。
ただそうやって何度も繰り返しプレイさせるのが目的なわりには、脱出パートが飛ばせないのが本当に面倒。これでだいぶもたつく印象はありますな。まあこれもきちんとした理由はあるんだけどさあ。それでも結構鬱陶しかった。


個人的には人称の仕掛けに唸らされました。いやーすごい。小説版ではどうなるか楽しみだ、読むかどうかは知らんけど。そして最後に明かされるDSならではの手法にも。ストーリー自体はだいぶオカルト寄りになるし、謎はめちゃくちゃ残ってて所謂「考察を楽しむゲーム」って感じになっちゃってるのが残念ですが(でも考察サイト見るのって楽しいよね)この仕掛けだけでやられたーって感じです。まあ謎については後述するとして。
難を言えばちょっと緊張感が足りない感じ。まず登場人物に危機感がないんだよな。どこかのほほーんとしてるっていうか。『CUBE』(個人的に密室モノ最高傑作)レベルとは言わないまでも、もっと閉塞感みたいのが欲しかったかも。せっかくの脱出ゲームなわけだし。
小説版が出るとのことだけど、きっとそれでは謎は大して明かされず、結局また新たな謎が……みたいに終わるんじゃないかと予想。隠し要素はないのかなあ。確かに若干物足りない感はあるよ。


キャラについて。キャラデザはとても好みで良かったです。みんな服装が基本的にアレな感じなのが残念ですが。つーかこれ季節いつなんだよと。
■淳平→うーんうざい主人公だった。「お前」呼ばわりとか舌打ちとかどうも気に入らんくて。
■紫→「下がグショグショに濡れちゃいます……」これに尽きるな、うむ。
■一宮→私、つまらないギャグ担当は彼に任せておけばよかったと思うの。というかみんな駄洒落好きすぎだろうと。
■ニルス→ちょっと中二入ってるよねお兄ちゃん。
■サンタ→首あたりに巻いてる昆布みたいのがすごい気になって気になって。
四葉→真のヒロイン。つーか紫がアレすぎる。まあ漫画でもゲームでも、メインヒロインって大抵あんまり可愛くないよね。
■セブン→オーバーオールと巨体の組み合わせがなんとも言えない感じで。
■八代→ババァー俺だー、結婚してくれー!! 基本的におっぱいがすごいことになってた。
■9番の男→まあこういう立ち位置のキャラって必要よね。うん。


以下個人的見解という名のネタバレあり。



一番わっかんないのがやっぱり紫=茜ですよね。これがもうさっぱり。まあゼロ=茜、というのは決定事項として、ならいつこの計画を茜は立てたのか? ということになる。茜が死んでいないとこの計画自体が成り立たなくなるので、そうなると自分が死ぬということを未来の自分から受信した茜が立てたことになるわけで(茜ってたぶん受信者であり送信者でもあるんだよね。そうじゃないと色々成り立たないよね? もちろん淳平もそうだけど)。そうなると船の中の茜は何者なのか? となるんだけど、偽者説とかあるけど思い出話とか色々あるし、たぶんそれはないんじゃないかなあ。となると、計画を立てたことにより茜生存フラグが立ち、そのため船の中の茜が現れた、ってことになるんじゃないかと。ルートによって発熱したり姿が消えたりするのは、バッドエンドに突き進んでいるからじゃないでしょうか。だけどそうなると過去の茜はともかく、現在の茜の存在意義が良く分からないんだよね。淳平に存在を思い出させるため、ということだったんだろうか?
僕はラストに進むにつれ「プレイヤーの記憶をプレイヤーが淳平に送信している、だから淳平はそれを受信して謎が解けた」ということなのかと思ってたら全然違いましたw


あと誰が共犯か、という説。紫が首謀者でサンタが実行者、そしてあとセブンが共犯じゃないかと僕は思ってます。いくらなんでも記憶喪失は都合良すぎる。万が一セブンが共犯じゃないとして、あんな奴をあの船にぶち込んだら計画がおじゃんになっちゃうわけですよ。まさか記憶喪失になると分かっててぶち込んだわけじゃないだろうし、それこそ都合良い展開すぎる気が。そうなるとやっぱり若干不自然な点は残るけど、記憶喪失演技説が一番信憑性高いんじゃないかなあ。
ニルスは非共犯ということで。さすがに知ってて四葉を巻き込むことはしないだろうし、第一共犯ならわざわざ助けてもらえるかどうか分からない棺の中に自ら入る必要はないかと。もちろん四葉はぶち切れエンドがあるので知ってるはずもなく。しかしこの兄妹、名前が「ライト」に「四葉」って、親はデスノオタクかよと。しかし四葉の心情や、幹部たちのあの残酷な殺害方法を考えると、倉式兄妹って相当鬼畜だよなあ。
一番影が薄いのが八代。娘が被験者の内の一人だという描写は出てくるけど、それだけじゃあこのゲームに参加する意義が薄すぎないかなー。だからといってアリス=八代説とかノナ=八代説はちょっと突飛すぎる気もするけど……ここらへんは単なる描写不足だろうか。


最後のアリスもどきについては、まあこれは最後のお遊びみたいな要素なんじゃないかとw 格好とかから考えるとやっぱりアリスっぽいけどね。
それにしてもいざ終わってみると、見事にタイトルに偽りのあるゲームだった。9時間結局関係なかったし全然9人じゃなかったし9の扉じゃなくてqの扉だったわけだし。最後の扉がqだとかバングルの文字が実は違ったとかいうネタは個人的にはうーんな感じでしたね。ちょっと後付けっぽすぎて。

*1:下手するとweb上に転がってる方が難しいレベル。しかしこれにも意味があるのだからどうしようもないw