『おとうと』

まず異様な年齢層の高さにびっくり。確かに若い人向けではないと思うけどここまでとは。学生はおろか、50代以上しか見受けられなかったぞー。


で、僕はこれ幸田文の小説が原作だと思ってまして。原作はだいぶ前(小学生ぐらいか?)に読んだことはあったんですが、映画のポスターを見たとき「あれ? お姉ちゃん役が蒼井優なのか? で、吉永&釣瓶が両親? え、じゃあ弟は加瀬亮……?」とか勘違いしてたんですけど全然違いましたね。でも何故か主人公はもっと若かった記憶が……と思ったら別にこれ幸田文の小説は特に関わってないみたいですね。ただそれは一つのテーマになってるってだけであって、むしろ市川崑監督の映画をリスペクトしてる感じだし。あ、でも鍋焼きうどんやリボンのシーンは何となく覚えがありました。それと原作では確か結核だったような気がしたのですが、やっぱり現代が舞台だとがらっと変わってましたね。


で、肝心の内容。手堅く面白くはあります。ベタベタな展開ではあるもののやっぱり脚本はきっちりできてるし、冒頭のシーンとラストシーンの絡め具合も良いです。ただなー、僕はあんまり好きな作品ではないかな。平たく言うと「古き良きホームドラマ」って感じではあるんですけど。むしろ舞台が現代なのにすごい違和感があるぐらい、町内の和気藹々な雰囲気とかキャラクターの出で立ち台詞が全然現代っぽくなく、正直ケータイやデジカメが出てくるたび違和感がありました。現代でやるからこそ、というのはあるだろうけど(「みどりのいえ」とかきっと現代社会の云々とかそういったテーマを盛り込みたかったんだろうし)それでもなー。
あとやっぱり台詞ね。山田洋次とか倉本聰とか個人的に台詞に違和感がすごいあって。なんつーか台詞がドラマっぽくなくて小説風なんですよねー。特に吉永小百合がきっちりそのまんま台詞を言っちゃうもんだから、やっぱりどうしても気になる。というか僕吉永さんの演技をCM以外で初めて見たんですけど、特に上手くないですよね……? アクオスの演技のまんまっていうか。ちょっと上品すぎて、そのイメージを脱却できてない感じがすごいしました。
ラストの山場もちょっと周りに喋らせすぎかと。あそこはかなり興醒めでした。


キャストは釣瓶が群を抜いて良いです。あーこういう親戚いるいる! って感じでw 程よくだいぶうざかったです。あと特にストーリーに大きくかかわってくるわけではないのですが、加藤治子のおばあちゃんも良かった。あとわざとらしくカメオで中居が出演してたけど、それよりも警官役にラサール石井というのが確実に狙ってるなーと思いましたw