上半期公開映画まとめ

映画の感想をツイッターでつぶやいただけで満足してしまっていたので、まだ感想をこちらで書いてなかったものを評価と軽く一言感想みたいな感じでまとめときます。リバイバル上映含む。感想はネタバレ注意。評価は★〜★★★★★(☆は★はんぶん)みたいなかんじで。



川の底からこんにちは』★★★☆
その街のこども』★★★★★
洋菓子店コアンドル』★
まほろ駅前多田便利軒』★★★★☆
ブラックスワン』★★★★
婚前特急』★☆
『大木家のしあわせ旅行 新婚地獄編』★★★★☆
阪急電車』★★★☆
『八日目の蝉』★★★☆
『プリンセストヨトミ』★☆
『あぜ道のダンディ』★★★
『奇跡』★★★★☆
デンデラ』★★★


川の底からこんにちはなんかすげー変な映画。それに尽きますw ストーリーは割と凡庸なんだけど、セリフ回しや演出がすげー変。それで個性が光ってるって感じかなあ。特に「あがるーあがるーよー消費税♪」の歌はしばらく耳にこびりついて離れなかったっす。ただブルーリボン賞と言われるとちょっと首を捻らざるを得ない出来かなぁー。
その街のこども名作です。渡辺あやはやはり天才じゃなかろーか。震災をテーマに扱っているので、このご時世強く勧められないのが残念ですが……他の震災モノと一線を画してるのは、その震災のシーンを一切描いていないこと。主人公二人の会話や表情だけで語らせる脚本もすごいし、それにきっちり応えている森山未來佐藤江梨子もすばらしい。サトエリが死んだ友達のお父さんに会いに行くシーンが今でもすごく印象的。ラストあたりで二人して走り出すシーンもかなりぐっとくるものがあった。前半期映画館で観た作品ではダントツで面白かったです。むしろこのご時世だからこそ見るべきなのかもねん。
洋菓子店コアンドルテレビドラマでもやれることを映画でやっちゃったダメな例。いや別にそれでもいいんだけど根本的につまらないのがなあ。とりあえず台詞でなんでもかんでも語らせるのはもうやめようぜ。
まほろ駅前多田便利軒』映画観てから原作読んだんですけど、松田龍平のキャスティングが完璧すぎてグゥの音も出ません。演技力はもちろん、笑い方や走り方までが素晴らしくて、行天という難しいキャラクターを完全に自分なりに染め上げてるのですよ。これはもう天性の才能としか言えないよなあ。ストーリーも面白いけど、松田行天を見るだけでも鑑賞の価値はあると思います。大森一家総出だったのもニヤリとさせられましたねw
ブラック・スワンナタリー・ポートマンがすっげーのですよ。ものすごい存在感と演技力。演出もかなり凝ってる。まあ現実と妄想の境目が曖昧になる……っていうのは洋画でしばしば見られる展開だと思うんですけど、そこらへんも分かりやすくてよかった。ラストの盛り上がりは半端ないです。あのバレエシーンが終わったときには一緒に拍手したくなっちゃったもんw『英国王のスピーチ』とおんなじっすねw
婚前特急吉高由里子はかわいい。かわいいんだけど、こういう使い方が彼女の魅力を発揮できているかと言われればちょっと……ストーリーも途中まではまあ見れるんだけどオチがひどすぎ。キャラクターも多いわりに全然活かせずに終わっちゃった感じ。
『大木家のしあわせ旅行 新婚地獄編』これは前半期大穴でした。タイトルからしてB級だし、まぁ内容もB級なんだけど、もう異様に泣けて泣けて仕方なかった。脚本もざっくりしてるように見えてかなり緻密。一応カテゴリはコメディなんですけど、ぬるいお湯に浸かってるような笑いが続くので笑いを期待するとちょっとつらいかな〜。僕はそれが心地よかったですが。あとは竹野内豊がめっちゃくちゃかわいい。中年なのに! なのに可愛い! エロくてかっこよくて、なのにかわいい!! もうその存在だけで反則すぎて。あ、反則といえば樹木希林片桐はいりコンビね。あの二人は立ってるだけで面白くてそれだけで反則でしたw
阪急電車特に大きな事件は起こらず、だけどどこかほっこりできる……といったお話の詰め合わせ。脚本の岡田惠和さんはこういうのお手のものですよねえ。一応その話同士は繋がってはいるんだけど、ざくざくとシーンが入れ替わるのできっちり一つの筋にならなく散漫な印象だったのが残念。特に面白い!ってわけではないけど、ニコニコできる映画です。
『八日目の蝉』ヘタにドラマを先に見てしまったせいか、どうも物語の断片的な部分をダイジェスト的に繋げたようにしか思えなかったのが残念。役者の演技と演出でかなり印象的なシーンにはなっているんだけど、脚本がぶつ切りなので余韻を残さず次の場面へ……となってしまってるんだよなあ。永作ちゃんはさすがの演技力、加えてめちゃくちゃ綺麗で(誰だよ劣化したとか言った奴出てこいよ)それだけで見ごたえ充分。しかし個人的には小池栄子を評価したい。対人恐怖症じみた演技がすごくうまかったです。彼女はきっちり女優するようになったよな〜。反対に井上真央ちゃんは健康的なイメージが強すぎて、こういう後ろ暗い役はあまり合わなかったかも。
『プリンセストヨトミ』役者も悪くないし(綾瀬はるかちゃんがかわいい。あとおっぱい)演出も凝ってるし音楽もかっこいい。脚本にも破綻はない。でもとにもかくにもつっまんねーの。どこがつまらない、とは明確に言えないけどとにかくつまんない。原作が悪い、とは未読なので一概には言えないのですが、ともかくつまらん。期待してただけにがっかりでした……鹿男はすごくよかったのになあ。
『あぜ道のダンディ』これも『川の底から〜』と同じくすっごい変w コメディとしては前作よりも洗練されている感じはあったけど、僕は川底のほうがインパクトあって好きだったかなあ。どうにも突き抜けるようなところが見られなくて、あともう一味欲しい感じの作品になっちゃってます。石井監督は今後こればっかだとつらいかも、と偉そうなことを言ってみちゃったり。
『奇跡』是枝版『スタンド・バイ・ミー』みたいな感じ。ストーリーははっきり言って予告が全てで、それ以上のものはないんだけど、びりびりと感情を刺激してくる感覚がたまらないです。ラスト願い事を叫ぶシーンもカタルシスのようでいて、その内容に深く耳を傾けるとやるせなさが溢れてたりして、安易にその物語の帰結を「奇跡」の一言だけで終わらせないそういう是枝監督の姿勢が僕は大好きです。ただ予告がかなり「泣けるよ!」みたいな感じなので、それ目当てに観に来た人にはだいぶ不評な気がするな〜。そういうシーンは皆無だもん。むしろ僕は「そういうの撮っちゃうの、監督……」→「やっぱり是枝監督は是枝監督だったぜえええええええ!!!」って感じだったけどw
デンデラババアすごすぎww これもB級映画ですね〜、僕は全力で楽しませていただきましたw 内容としてはばーさまたちが殺したり殺されたりする映画です。結構スプラッタなのでそこらへんはご注意。個人的に印象に残ったのは草笛光子が魚の骨を櫛代わりにして、くしゃくしゃになった髪を梳きながら泣くシーンですね。あそこが生だけでなく女としての執着が一番現れてるシーンでよかった。あと倍賞美津子が眼帯をバサッ……!と外して、潰れた目のまま同じように片目の潰れた熊と対峙するシーンがめっちゃかっこよかったですww むっちゃ犬死だったけど……ラストはどうなんですかねー。村に復讐できた、という点では当初の目的に沿ってはいると思うけど、いつの間にか熊とのバトルが主軸にすり替わってたのはすごい違和感あった。テンポも悪かったし、後半はもうちょっと何とかしてもらいたかったかなあ。