「神はサイコロを振らない」Last day

神はサイコロを振らない Last day「最後の一日運命は変えられる!」
おお! もたいさんが出てる! もたいまさこ、最近こういう扱われ方多いね……


とにかく最終回が一番気になっていたドラマ。個人的には無理矢理なハッピーエンドだったら別に帰ってこないラストでもいいと思ってたんで、「結局帰ってこなかったが、もしかしたらどこかで生きているかもしれない……という展開を匂わせるラスト」は良かったと思う。かなり綺麗な終わり方だったと思います。


それにやっぱり、みんなが消えていくシーンはかなり泣けた。その前の楽しそうな映像との対比や、消えた人たちを前にしたみんなの演技がすごく良くて。いやーやっぱりこのドラマは役者にかなり助けられてますよ。そうそう、消えた人たちはみんな何かしらを遺して消えていきましたね。それが余計泣けるというか。


・黒木家の話は「騙したまんまでいいのか?」と誰が思ったか知りませんが、結構取って付けた感じだったかな? これを最終回に持ってくる理由が分からんもんなあ。しかし鶴見さんは亮君(小清水一揮)と再会した後は一体何をやってたんだろ……「10年間ずっと亮君のことを思ってた」っつっても、本人にとっては数十日前の話だし、なんせまだ子供だし、そんなに早く理解できるとは思えないけど、まあいっか。
そんな亮君が遺したのは「サッカーボール」。だけど、最後の瞬間にお母さん(杏子)がいないってのはどーゆーことよ? それどころか今回一瞬たりとも出てなかったし。


・神蔵夫妻は遺した物はこれといってなかったけれど、食べた後の食器がそのまんまあるっていうのが、まるで「今まで本当にそこに存在していたんだ」という証明のようでして……フォークやナイフがきちんとさらに揃えられてるっていうのはおかしいと思うけど。ただ、この夫婦の話はちょっとぱっとしなかったかなあ。


・駆け落ちカップルは花束を遺して消えていった。楽しそうに会話する二人のあとの、ベンチの上にぽつんと遺されている花束がすごく印象的でした。神蔵夫妻もそうだけど、ひとりじゃなく誰かと一緒に行けるっていうのはすごく幸せだよねえ。


・甲斐兄弟は今まで兄弟らしい交流がなかったけれど、今回はそれを挽回するためか、弟が兄を尊敬していたりなどようやくそういう描写が現れました。イボリー(尾美としのり)は結局大して見せ場がなかったような……「遺族に振り回されるのはうんざりなんです!」と心情吐露するシーンはあったものの、大屋本部長(岸部一徳)がいいとこ取り。岸部さん、ちょこっとしか出てないのにいい味出しすぎです。
航星(中村友也)が遺したのは、兄へのメッセージが書かれたパソコン。でもなんかあまり兄弟的な描写がなかったためか、たいしてじーんとこなかったかも。


・お笑いコンビが個人的にはかなり期待外れだったかなあ。昇子(明星真由美)が遺していったメッセージもそこまでぐっと来るものはなかったし……ただ、あんな人通りが多い所で、ひとりの人間が消えたらびっくりするやつはいないのか? と気になっちゃいました。


・瑠璃子成海璃子)の話も思ったよりも見せ場はなかったけど、こっちはかなりぐっときました。瑠璃子がピアノを弾くシーンも吹き替えじゃなかった(多分)だしね。遺していった手紙も甲斐兄弟とは違ってかなり泣きそうになった。あとCDを実は持っていたこととか・・・…しかし成海璃子ちゃんと高橋惠子さんの親子は本当綺麗な親子だよなー。特に璃子ちゃんは「瑠璃の島」から比べるとかなり綺麗になったんじゃ?


・亜紀(ともさかりえ)が菊坊(武田真治)にスーツを遺していくのは良かったけど、菊坊に「次に会うとき、恋に落ちるためです」と告白を匂わせるような発言をしたり、手紙で菊介と亜紀が結婚するような描写を見せたりするのはちょっと嫌だったなあ。なんていうか、くっつきそうでくっつかない二人の世界観が好きだったんで。しかし菊坊って童貞なのかなあ……あと、今まで一回も就職してない男を雇ってくれる会社があるかどうかが疑問ですね。
しかし、ヤス子(小林聡美)が「ネイルサロン、まだやってるかどうか見てくるね」と言って背を向けたとき、亜紀が消えてしまう……というのにはかなりズンときた。でも、もしかしたらこれが一番ふたりらしい別れ方なのかなあ……とも思ったり。


・やたらすいすい「ヤッチとテツを囲む会」が運びすぎるんで、「こりゃなんかあるな」と思ったらやっぱり。でも、自分のことよりも他の人が助かるかもしれないから……と思う心情がすごく哲也(山本太郎)らしくて良かった。結果はどうあれ。ヤス子と哲也の別れや指輪交換もすごく良かったよー。「タクシー待たせすぎじゃない?」とは思ったんだけど。哲也が遺してくれた指輪が消えてしまうのも悲しいね。


前半は結構良かったんだけど、どうもサブキャストの扱い方がぞんざいで、ちょっと冷めた目で見てたこのドラマでしたが、最終回は個人的には大満足です*1。先進派とかパラレルワールドとか小難しいことは知らねーよそんなもん、ってな感じでしたが。ただ、役者さんの演技も設定も最終回もすごく良かっただけに、中盤の内容がもうちょっとどうにかならなかったのかなあ……と惜しい気分。やっぱキャストがちょっと多すぎたよ。

*1:多少ツッコみ所はあるものの