「魂萌え!」第二回

魂萌え! 第二回「水底の光」
カプセルホテルの従業員は接客態度悪すぎです。


「母さんの先のことを考えないと!」「あたしには『俺の先のこと』って聞こえるわ」
「私は出るとこ出ても構わないわよ」
うわ、敏子(高畑淳子)かっこいい。本当に強くなったんだなあ。宮里(麻生美代子)に出逢って、最終的に信じられるのは自分しかいないと悟ったのかも。同居できないと知ったとたん家を売却しようとする長男(山本太郎)には腹が立ったけど、これでこの件は一件落着したんだろうか……娘(酒井美紀)も恋人(杉浦太陽)との結婚のため、資金を作ろうとしているのが気になる。最後の「白浜カントリークラブ」とやらの会員証の存在も気になるし……
しかし、宮里のキャラはちょっとしか出なかったけど強烈だった。麻生美代子さんってサザエさんのフネの声あててる人ですよね。1万円請求する宮里も凄いけど、彼女の話に惜しみなく1万円を渡す敏子も凄いな。まあ、現にあの言葉で勇気付けられたのでしょうが。
ただ、敏子が変わっていくのはいいけど、それに恋愛話を絡めるのはちと違和感が。いや別にジジババの恋愛話なんて見たくもねーというわけではないんですけどね。もちろん見たいわけではないんだけど。ただ夫(大和田伸也)のことで傷ついた敏子が、出会ったばかりの男(村井国夫)と恋愛に陥るのはどうかな……と。最終的にこの2人が一緒になったりしたら萌えるどころか萎えるかもしれん。


そして相変わらず伊藤昭子(高橋惠子)絡みの話は怖い。娘の言葉は丁寧だったけど、要約すれば「あんたの死んだ夫から貰った500万だけど貰ったものは返さないわよ」ってことでしょ? それに加え「母は関口さんが好きだった、関口さんも母が好きだった」の一言。そりゃ真珠のネックレスのひとつやふたつ引き千切りたくなるってもんですよ。きっと例の「白浜カントリークラブ」の会員証だって、伊藤昭子絡みなんだろうし。


そして早くも来週最終回です。敏子にも昭子にも隆之にも俊之にも美保にも誰にも当てはまらない立場の僕ですが、何かえもいわれぬ迫力のようなものがひしひしと伝わってきているドラマなので、最後までその勢いを失わないでもらいたいです。しかし原作は読んでいないのですが、桐野作品でここまで前向きな主人公って珍しいかも。知らない方は「これで前向き?」と思われるかもしれませんが……「OUT」のように歪んだ世界で強くなるわけでもなく、「グロテスク」のように堕ちていくわけでもなく、どこにでもいる60歳の寡婦を描いた、こういう作品って作品って本当希少ですよね。あ、そういえば「グロテスク」読み終わりました。いずれ感想を書くかもしれませんが、なんか凄く鬱になりそうな小説でしたよええ。