山本甲士「かび」

日々の不満を呑み込んで、波風立てぬように生きてきた主婦・友希江。しかし、勤務中脳梗塞で倒れた夫を、会社は退職に追い込もうとしている事を知り、ついにキレた!「ただの主婦」だった友希江が、企業への報復を企てる!

かび (小学館文庫)

かび (小学館文庫)

こう書くと、「被害者である主婦が不条理な企業に復讐」って感じで、爽快痛快で最後はスッキリ!みたいな作品だと思うじゃないですか。僕もソウ思ったわけですよ。でも後味はよくないです。主婦の心理は作者が男性なのにすごいよく書かれてるなーとは思ったけどさ。以下ネタバレ。


途中で「やりすぎだろ!」って思った所がことごとくラストで悪い方向へ向かってしまったのは、伏線の回収とはいえない事もないけど……まーあそこで何事も無く終わったらそれはそれで消化不良なので、妥当なラストだとは思います。前述したとおり「主婦の不満」の部分がやけにリアルで、まあそこが一番面白かったかなー。テンポのいい関西弁も読んでて楽しかったです。ただやっぱり後味は良くないんだなあ。
しかしピッキング描写がやけにリアルだったぞ。大丈夫なのか、これ?