「セクシーボイスアンドロボ」VOICE10

セクシーボイスアンドロボ VOICE10「幸子」
ゲストは篠井英介ほか。

「ある晴れた昼下がり。私は二億円で売られようとしている。
お金さえあれば、幸せになれるっていうのは本当かもしれない。でも世の中それだけじゃないって、誰か言ってなかったっけ。お金があればどんな夢でも叶うのか。そんなこと、絶対にないって言いきれない自分が悲しい。みんながそういうのが当たり前って思っている世の中が、悲しいっていうより……なんか悔しい」

うーん、今回はちょっと微妙だったかなあ。好きな脚本家さんなんでこんな事言いたくないんだけど、脚本が破綻してた気がする。シーンの繋がりが悪い気がしたんですよねえ。次の展開に行く流れが唐突すぎるというか。ひとつひとつのシーンは凄くいいんですけどね、相変わらず。一番「はぁ?」な展開は、信田コーンの奥さんが水族館の魚を殺そうとしてたところかなあ。言わんとしている事は分かるんだけど、うーんって感じだった。なんでそういう方向に向かう?っていうか。木皿脚本ってたまにそういう部分があるんだけど、ちょっと今回はそれが目立ったかな。トンネルのエピソードは良かったんだけどね。そんでもってたぶん今回は「お金では買えない幸せ」がテーマだったんだろうけど、ちょっとキレイごとが鼻についた。
あ、でも、停電のエピソードは良かったな。主にニコ父母のやつ。1億円を抱えているつもりが本当はアルバムだった……って、いいなあ。流れも自然だったし、本当に木皿さんは小道具の使い方が上手い。ただ信田夫妻はなんでああもあっさりと和解してるん?って感じでしたが。
あと上手いといえばあのラストの剥がれた跡のエピソードも好き。「本当はこんな綺麗な色してんだよね。私はこういうの見つけられる人になりたいって思う。見つけて、世の中そんなに捨てたもんじゃないなって、誰かに思ってもらいたい。それが私の幸せかな」っていう台詞もちょっとニコ(大後寿々花)がいい子すぎる気もするけど、好き。そしてマキ(麻丘ルリ子)の「……社長は幸せですか?」「私たちは、時間の中を生きているの。日々変わっていってる。ずーっとなんて幸せ、この世にはない」「じゃあ、幸せじゃないんですか?」「私は、ときどき、幸せ。うふふふふ」っていう台詞も好き。「幸せは途切れながらも続くのです〜♪」(byスピカ)ってやつっすね。だけどマキの思惑が「ニコ(大後寿々花)を養子にすればいっぱい金が入るんだし2億ぐらいやっても別にいいよな、へっへっへ」というものとしか思えなくて、「あなたと暮らせたら日々面白おかしく暮らせるかもしれないと思ったから」とか後で言われてもなあ……って感じで、たぶん例のアルバムのエピソードとかを絡ませるためにあえてマキを悪者にしたんだろうけど、どうも釈然としなかったなあ。まさに「金のために金で買う汚い大人」って感じで、一番テーマと合ってない気がした。そこが残念。


来週は遂に最終回ですよ! ゲストは死んだはずの三日坊主(中村獅童)で、題名が「ロボ」で、しかもニコの「ロボ」がすっげー切ない響きだったんですけど、はてさてどうやって締めるのやら。木皿さんのドラマは終わり方が難しそうなのばっかりだもんなー。まあ平凡な日常に終わりはありませんからねえ。それこそ死にでもしないと。

「お金が欲しいとか、美人になりたいとか、誰にでも分かる幸せは、本当はどうでもいい幸せなのかもしれない。誰にも絶対譲れない、本当の幸せっていうのがあって、それはそれぞれ形が違っていて。違うから、歩く道もそれぞれに別れていて。私の幸せとロボの幸せが、一緒だったらいいのにと思う。でも多分…………違うだろうなあ」