「あしたの、喜多善男」2日目

あしたの、喜多善男 2日目「さよなら、母さん」
ゲストに加藤治子


うーん、面白い。見る前は勝手に善男(小日向文世)が死ぬまでに色々な体験をする話かと思ってたんですけど、しっかりサスペンスも絡んできてるし。謎が複雑ではないが霧の中って感じで上手いなあ。前回の話を矢代(松田龍平)視点で見てネタばらしっていう小説的技法もドラマじゃあまり使われないんだよね、実は。なのでなかなか新鮮な感じがしました。しかし上から看板が!→救助、の流れはきっと矢代が善男を尾行してたんだろうなあ。矢代にはやっぱり下心があって、とりあえずお金欲しさに善男に親切にしてるって言うのは分かったけど、善男が死んだら保険金を手に入れるっていう単純な流れじゃないみたいですね。受取人は母親から矢代にどうにかして改竄すればいいとして(なんていい加減な発想)善男の言うとおり自殺じゃ保険金は入りにくいんだよね。予告と合わせて考えてみると、事故死に見せかけて殺すのかなあ。そういう算段だったが矢代が罪悪感でできなくなり、リカ(栗山千明)がぷつんといっちゃうんじゃないかと予想。ま、黒い栗山千明が見たいという願望も入り混じった予想なんですけどね。
一番謎なのはみずほ(小西真奈美)だなあ。普段は毅然とした態度の彼女がカウンセラーの前では子供のような声を出して泣くのがなんか怖い。小西さん、声の使い分け凄いっすね。みずほは善男が心の底から嫌いなのか、それとも自分の秘密の鍵を握る人物だから嫌なのか、どっちなんだろう。前者っぽい感じはするんだけどね、今までの流れからして。そして善男の鞄に発信機が取り付けられていました、と。いくらなんでもこれはバレないか?と思うんだけど……常時大金の入った鞄を抱えて移動する善男もちょっと変だし。関係ないですけど善男の初めての相手がみずほだった、というところになんか寒気を感じてしまった……怖いよう。
あ、そういや毎回ネガティブ善男は出てくるんですかね。さすがに1話ほどのインパクトは無かったかな。


今回はお母さん(加藤治子)に会いに行くの巻。だけど、痴呆(?)で今は亡き夫の帰りを料理を作って待ち、記憶も衰退している母を独り置いてなお死のうとする善男はどうなんだろうなあ。「自分みたいな不幸な人間が近くに居ない方がいい」っていう気持ちはちょっと分からなかった。やたら飾ってある賞状とか妙にリアルだったなあ……過去の栄光にすがりついてるとまでは言わないけど、こういうのを見て親は善男に期待をかけてきたんだろうなあと思うと現在のこの不幸で自殺をする男、という結果が虚しくて。善男が自殺したとしてもお母さんは夫と息子の分のカレーも作って食事をするんだろうか、と思うと切なくなりました。


「ダイハード」→「一生懸命死ぬ」は映画の内容と一致してるかどうかはともかく、言い得て妙ですね。確かにこのドラマを一言で要約すると「一生懸命死ぬ」かも。