「あしたの、喜多善男」10日目

あしたの、喜多善男 10日目「最終章―絶望をのりこえろ」
原作の内容はきっと全然違うんだろうなあ。


すごいなー。やっぱ役者が上手いとドラマが面白くなる。よく考えたら当たり前なんだけどね。小日向さんがやっぱ特にすごい。ネガティブ善男と善男(小日向文世)が一つになって、平太(松田龍平)と三波(今井雅之)に激昂するシーンの演技なんて鳥肌モノだった。ネガティブ善男は善男自身が作り出した人格だったのか……自殺を決意した途端出てきたのは、自殺する際「いい事だけを考えて、残りの人生を生きよう」という都合の良い決意が「嫌な思い出」「消したい真実」を放り出して、その集合体のようなものがネガティブ善男だったってことなのかな。そうなるとみずほ(小西真奈美)に「俺を見たからって驚く事ないだろ? お前のせいで出てきたんだから」みたいなこと言ったのはちょっと矛盾してる気もするけど、まぁ「消したい真実」の中にみずほが関わっていたのは確かだし、いいのか。あの融合(っていう表現でいいのか? あのシーンは)や善男の激昂の後、数話前にもあった缶コーヒーのシーンを入れてくるのには参った。そんな脚本も凄いけど、今回は演出も凄く良かったです。
社長(神保悟志)を殺し、みずほをハメたのは森脇(要潤)なのかなあ。でもそれならちょっと単純すぎるし……みずほ二重人格説は、善男のこともあるしたぶん無いだろうな。怪しいのは最初の方に出てきた精神科医岩松了)だよなあ。あの男の前でだけみずほは弱い部分をさらけ出してたわけだし、ケータイをすりかえるぐらい容易だったと思うんだよね。森脇と彼で共謀したとか? しかしそうなると数話前の森脇のみずほに対する「あなたが好きでした」的発言は嘘八百だったってことになりますな。ま、そっちの方が面白いんだけど。


皮肉なのが、善男が生きている時は殺そうとしている人達ばかりだったのに(みずほや三波)いざ死のうという時になって今度はそれを周りが阻止しはじめたこと。そりゃ善男も「裏がある」と疑うよ。幸せの絶頂(だと善男が思い込んでいた状況)の中親友だと思っていた三波や最愛の人だったみずほは本当は自分を脅かす人間で、絶望的な立場の今平太は心の底から善男に死んで欲しくないと思い、しのぶ(吉高由里子)は善男が好きになっている。この対比も皮肉だ。


最終回はどうなるのかなあ……ここで善男が死んでしまったら本当に救われない気分になってしまう。予告からしてたぶん、善男が死のうとしている場所はあのみずほとの思い出の画集に関係する場所なんだと思うんだけどね。そして逮捕されたリカ(栗山千明)やみずほはどうなるんだろう。あと室井さんやぬっくんは再び出てくるんだろうか? 最終回までは善男視点で進んできたドラマが、最終回は善男を取り巻く人々視点で話が進んでいきそうなのが、なんかこのドラマすげーなーって思いました、はい。