「あしたの、喜多善男」11日目

あしたの、喜多善男 11日目「最後に残された、自由」
ゲストに原作者・島田雅彦。監督の役か?


おお、意外とストレートな終わり方だ。飯田譲治のことだから、もうちょっとひねくれたり皮肉ったりする終わり方だと思ってたよ。たとえば自殺は免れた善男が、交通事故で死んでしまう、とかなったらどうしよう!とか。まあそんな展開になったら最悪なんですけど。だけど充分面白かったです。緊張感のある最終回でした。あんなに頑固だった善男(小日向文世)が自殺を思いとどまったのはあっけなかったっていうか、結構あっさりしてたなーとは思ったんですけどね。でも善男が死ななくて嬉しかったよ*1。初回からしつこいほど主張してきた善男のカレー好きが、善男を救うきっかけになったっていうのも良かったしね。善男を助けるのもマサル生瀬勝久)の仕掛けた発信機や、しのぶ(吉高由里子)が画集に何かあると気づいたり、みずほ(小西真奈美)がその場所を思い出し、そして平太(松田龍平)がその場所へ向かう……っていうのもみんなが協力してるって感じでよかったなあ(そういえば平太が「こんなに走ったのは運動会ぶり」みたいなこと言ってたけど、それって前にも言ってなかったっけか?)。
自殺しなかった善男と、釈放されたみずほがほとんど会話も交わさず去っていったのも良かったのですが(このシーンは印象的だったなあ。2人の無言の演技が凄かった)、残念なのが善男としのぶが会うシーンがなかったこと。しのぶと善男の関係が一番気になっていただけに、それがちょっと残念でした。あとリカ(栗山千明)の話も結構あっさりしてたかなあ。正直おまけっぽい感じは否めなかったかも。


みずほの会社の事件は、まあ特にひねった部分も無く、って感じだったかな。社長役が神保悟志さんだったから絶対回想で出てくると思ってたんだけどなあ……うーむ。ただ、森脇(今日はすっげー悪い顔でしたね、要潤)がみずほに「突っ張っていた時のあなたの方が、魅力的でした」っていうのは凄い皮肉だなーと思った。みずほが「今のあなたの方が魅力的ね」っていうのは要するに「悪巧みしている森脇=本当の姿が魅力的」ってことなんだけど、森脇の言う「突っ張っていた」っていうのはみずほにとっては「作り出された自分の方が魅力的」ってことになるからなあ。本来の自分が嫌いだったみずほにとっては最悪の一言だよね。
しかしそういえば前半で善男が「死にかける」シーンは絶対に人為的だ!なんて息巻いてたけど、全く何も関係ありませんでしたね……力説してたのが恥ずかしいっす。


まあとにかく、3ヶ月間楽しませてもらいました。久々に上質なドラマを見させてもらった気分で大満足です。キャストもみんな芸達者ばかりだったしなー。特に小日向さんはやっぱ凄い。元々好きな俳優さんだったんですけど、ますます好きになりました。なんていうのかなー、スタッフもキャストも、心から作る事を考えて作っている、っていうのが作品からひしひしと感じられて、ドラマ好きには凄い嬉しかったですよ、ええ。ただこういうドラマが低視聴率っていうのは、分かってはいたけどちょっと寂しいなあ。これに懲りず、こういう感じのドラマを1クールに1つは見たいと思うのは贅沢なんですかねえ。

*1:飛び降りたシーンはびっくりした。そういえばエンディングのシーンとかかってるんだよね、これって