『塔の上のラプンツェル』

さすがディズニー、安心安定の面白さでした。特に作画はもうほんとケチつける部分はないですねえ、実写かと見紛う程のレベル。キャラもみんな魅力的だし(ラプンツェルは特にかわいい)ストーリーも文句なしに良くできてて、わくわくするんだけど、だけどちょっと隙がなさすぎるのが逆に欠点かなぁ。きっちりまとまってるんだけど、それ以上ではないというか……印象的なシーンとかは特にないんですよね。たとえばピクサーだったら主人公を人間じゃないものにしたり、もしくは家族にしたりして、そのモチーフをうまく使って物語を仕立てあげてるから、よくできてる中にもプラスαが生まれるんですよね。まぁ題材が童話だけにいじりづらいのかもしれないけど、もうちょっと何か欲しかったかも。いやまぁこれでも充分面白いんですけどねw 髪の使い方とかはすごくよかったです。
ディズニーお約束のミュージカルシーンもアリ。ラプンツェル役がしょこたんで、「歌うめえええええ!!」と思ったら歌だけしょこたんじゃなかったでしたw だったらなんでしょこたん起用したんだ……と思ったけど声優としても遜色ない感じでしたよ。さすがだ。
しかしミュージカルシーンは和訳とか大変だっただろうなぁ、と妙なところが気になってしまいましたw 歌は本職の舞台俳優さんたちが声優をやっておられるからかマジですごかったです。ディズニーは声優の起用も隙がないよね、俳優起用したりもたまにするけど大抵ぴったりだし。

以下ネタバレありです。


一番気になったのはフリン・ライダー(畠中洋)がラプンツェル中川翔子)の涙で生き返るところ。彼が死ぬことはないっていうのは分かってたし(冒頭のナレーションの「フリン・ライダーが死ぬまでの物語」っていうのも、本名があるって分かった時点で気付くよくある引っかけだしw)その展開自体に文句は全くないんだけど、ただ涙で生き返るってのはちょっと陳腐過ぎやしないかなー? 手の傷を治したときに「ここから何か力が宿るってことはないのか?」ってせっかく言わせてるんだから、ラプンツェルの涙+その手の傷跡で生き返る、ってしたほうがまだしっくりいったかも……だってラプンツェルはあの自分の能力をどこか疎んじてたって描写あったよね? それなのに髪を切っても結局能力は宿ったまま……みたいなシーンはどうかなぁと思ったわけです。生き返らせるにしてももっとどうにかしてほしかったなぁ、と。
まぁでもそこ以外は気になるところはないです。あとは台詞が小粋で上手い。ラプンツェルがライダーに向かって言った「そっちの名前(本名)の方がいいわ」っていうのと、ライダーがラプンツェルに言った「そっちの髪の色(本当の髪の色)の方がいい」っていうのがリンクしてるのはいいなーと思った。こういうのを含め、日本のアニメにはない完璧さがあるよね。サマーウォーズとかはこれに近くて、やっぱりあっちも隙がなさすぎてどうにももやっとするんですが。ただディズニーは悪役に容赦なしなのが素敵ですw 本気で悲惨な目に遭わせてるもんなぁ、いいぞもっとやれw そして継母(剣幸)の「ラプンツェル〜♪」がしばらく耳から離れませんでしたww