『大鹿村騒動記』

お星様:★★★☆


原田芳雄の遺作。ベテラン名優の演技を見るだけでも楽しめる映画。ただちょっとキャストが豪華なわりにもったいない感じかなー。ベテラン勢以外にも松たか子とか相変わらずいい演技してるのに、出番が少なめでちょっと物足りない(ただ最後の涙ぐむシーンはぐっときたけど。彼女は泣きの演技うまいよなー)。キャラクターにも隠れた要素はてんこ盛りなんだよね。ただあえてそれを表に出し過ぎず、あくまで味付け程度の風味にしてたのはよかったかも。一番光ってたのはやはり大楠道代でしょうか。彼女はこういうちょっとイッちゃった感じの役うまいよなーw 冨浦くんの使い方もぴったりというかなんというか。
話はもっとがんがん盛り上げられそうな部分を敢えて平坦に描いている感じが好みでした。妻に対しても友人に対しても主人公がどこかさっぱりしてて、あと映画全体のトーンがコメディ調ってのもあるんだろうけど、そこが物語を変に粘着質にしてなくてよかった。ただ歌舞伎のシーンが長すぎるんだよなあ……これは歌舞伎を知ってる人には楽しめたのかな? 僕はここら辺には全く明るくないんで、もしかしたらストーリーとリンクさせてたりしていたのかもしれないけど、知らない人間にとってはただただ長々としたシーンで冗長だった。演じている人間同士のリンク、という点でもあまりカタルシスは起きなかったしなー。

とはいえ、なかなか好きなタイプな映画ではありました。原田芳雄の最後の作品としてはぴったりだったかもしれませんね。