『ドッペルゲンガー』

ドッペルゲンガー [DVD]

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僕が日本でホラー映画を作らせたらいちばん!と思ってるのが黒沢清氏なのです。といってもストーリーが特に優れているというわけではなく*1怖がらせ方が清水三宅豊島など著名なホラー映画監督とは段違いだとおもっとるわけです。まあこの表現方法もただ単に僕の好みであるってだけなんですけどね。あまりばーん!どどーん!!で驚かせるホラーが怖いからという意味ではなく好きじゃなくて、黒沢監督の不条理だったり不気味だったり得体が知れなかったり、そういった部分がゾクゾクして好みなのです。特に『回路』のうにょうにょ動く黒い影みたいな奴は今でも印象的。
というわけで黒沢監督だし、題材ってか題名が「ドッペルゲンガー」なわけだし、こりゃホラーとして期待できるで!と思った次第なのです。特に最初の永作ちゃんと弟の絡みなんで不安煽られてゾクゾクしたし、まあ正直ストーリーにはちっとも期待はしてなかったけどぞんぶんに怖がらせてくれよ〜と思ってたのです。てたのでーすーがー。
こりゃホラーじゃねえな、コメディだなと。黒沢監督のドッペルゲンガー論はなかなかおもしろかったんだけど、ストーリーはだんだんと喜劇の様相を見せてきて、後半ではそれがピークに。なんか超人バトルロワイヤルみたくなってんの。後半の主人公の性格や口笛でドッペルゲンガーの言っていた言葉が真実味を帯びてくるし、人工人体ももう一つの体=ドッペルゲンガー、っていう図式もわかるっちゃわかるんだけど、でも後半はまったくタイトルに沿わない内容に。つーか後半のインパクトが強すぎて前半がどこへやらですよ。
あ、でも役所広司はさすがの演技力です。彼は器用貧乏すぎてあんまり好きじゃないんだけど、二役を表情だけで見事に演じ分けていたりもしててすげえなあと。あと永作ちゃんが若い! むっちゃかわいい! あと佐藤仁美がおばちゃんじゃない!
ともかく変な映画だったな〜。見事に騙されたという点では黒沢監督の術中にはまってしまった=正しい楽しみ方をしてしまったということかもしれぬが!

*1:というかホラー映画で傑作だと思った試しないな。邦画は大好きだけどアジア圏のホラーってつまらんよね