朱川湊人「都市伝説セピア」

都市伝説セピア (文春文庫)

都市伝説セピア (文春文庫)

「白い部屋で月の歌を」(だっけ?)を読んだ時も思ったのですが、この人の書く狂人ってみんな壊れ方が綺麗なんですよね。「壊れ方に綺麗も汚いもあるか」って言われたらそれまでなんだけど。なんか自分の太股を笑いながら刺したりぶつぶつ呟きながら髪の毛一本ずつ抜いたり、とかそういう壊れ方じゃなくて、仲の良さそうな上品な家族が談笑しながら人肉を食べてる、っていう壊れ方っていうかー(我ながら凄い説明の仕方だ)
だけどこの中の「死者恋」からはあまり上品さが感じられなかったというか……他の話と違って性的なものが介入してるからかなー。ホラーでエログロにもっていくのは上品とは言えないからなあ。
「昨日公園」は「世にも〜」でやっていた原作だったのですが、原作の方が泣けた。ドラマはラストがいけないよなあ。ただの「驚き」で終わっちゃってるんだもん。ただ原作では主人公が小学生なのを大学生にしたのは正解。子供から大人へ移行する際の感情移入がドラマだと分かりにくくなっちゃうしね。「小学生だからこそ良かった」という声もあるかもしれませんが……
「月の石」はもうちょっと話が広がるかと思ったんだけどちょっと拍子抜けしました。


好みなのは「フクロウ男」「昨日公園」。「昨日公園」は特に秀逸です。