野沢尚「ひたひたと」

野沢尚氏が亡くなる前に書いた「罪を告白する者たち」の物語の連作短編集「十三番目の傷」「ひたひたと」、そして長編のプロット「群青」を収録。著者最後の作品。

ひたひたと (講談社文庫)

ひたひたと (講談社文庫)

うーん、正直言ってすっごい普通。野沢さんの作品では「リミット」とか「眠れぬ夜を抱いて」とか(どちらともドラマは未見)好きなんですが、悪く言えば堅苦しい、よく言えば硬派な文章が今回は見られなかった。なんか文章が軽めな気がしたんだよね。そして作品の内容もなんつーか結構ありきたりです。短編ふたつはまあいいとしても(こっちのオチもたぶん分かっちゃう人結構いると思います)長編がなあ……完成度が高いのは確かかもしれませんが、やっぱりなんか普通。2時間サスペンスドラマとかで普通にありそうですもん。こういうのを読んでしまうと、やっぱりもしかして行き詰ってたのかな……と思ってしまう。「群青」だってもしかして野沢さんは出版する気はなかったかもしれないですね。