「セクシーボイスアンドロボ」LAST VOICE

セクシーボイスアンドロボ LAST VOICE「ロボ」
ゲストは再び中村獅童

「お父さんの誕生日。お父さんの可愛がっていたルミちゃんが、戻ってきた。
みんなが見えないのなら、私もルミちゃんは、見えないことにした。みんなと違う事を言い通すのは、なかなか根性がいる。たとえそれが、正しいことでもだ。
……帰ってきたのは、ルミちゃんだけではなかった。三ヶ月前に死んだはずの三日坊主が、帰ってきた」


一番最初のエピソードにほっこり。あのケーキのやつです。ひとりでケーキを食べていたお父さん(塚本晋也)、家族がひとりひとり帰ってきて、冷蔵庫からケーキを取り出して、ロウソク刺して火をつけて、お父さんがそれを消していく……っていうの、凄いいいなあ。良い台詞もいいけど、こういうシーンをもうちょっと増やして欲しかったかな、全体的に。というのがこのドラマ全体の感想ですかねえ。確かに説明的というか、台詞で全てを語ろうっていうのがこのドラマでは多かった気がする。もちろんドラマとしては好きなドラマだったのですが、期待度が高すぎたのもあって、手放しに「面白い!」とは言えないドラマだったことは確かです。「ん〜?」ってな感じの展開も目立ったし。個人的には「ごぼ蔵」、あとあまり評判がよくないらしい(リアリティがなさすぎるとかで)「ZI」が好きだったなあ。「プッチーニ」は良かったことは良かったんだけど見てて疲れた。あれ、あの3人組じゃなかったらあそこまで完成度の高い作品にはなってなかっただろうけど、あの3人組だからこそわざわざ前後編にして内容も重いものにしたのかなーやっぱり。あれがラス前でも良かったのにその後に「幸子」がきたのはちょっと痛かったかもしれないです。「幸子」はちょっといただけなかったなあ。木皿さんが担当していない2話についてはまあ触れないでおきます。ただ、初見で「つまらん!」と思ったものでも見返したら別の視点が見えてきて面白く感じられるドラマだと思いますよ、これ。たとえば「かんにん袋」好きじゃなかったけど2回目は何気にいい台詞とか発見したりして少し面白く見れましたし、他の話でもそういうのあると思います。


で、まあ最終回本編ですが、ちょっといまいちだったかな。だけどみんなと合わせようとするニコ(大後寿々花)と転校生とか、「バテレン、レンコン、トマトはマックス」の合言葉とか、ここらへんはすごく「野ブタ。」ぽかったですね。こういうところは良かったと思います。それに三日坊主(中村獅童)のエピソードを絡めてきたのも上手いと思う。三日坊主が死んでから初めて今までの記憶を取り戻して、最期の言葉が「よく遊んだ、楽しかった」だったりとかして、三日坊主単体のエピとしてはすごく良かったんだけど、そこから最終回への流れがなんとなく不自然だった気がしたなあ。そこが残念。この台詞は好きなんですが。

「なんでルミちゃんも三日坊主も、見れなくなっちゃったんだろう。私なんか変わっちゃったのかなあ。ロボはロボのままなのに」
「そんなことないよ。俺も色々変わったよ。でもね俺は、どんなときでも、ずっと自分の味方でいようと思うんだ。たとえ、最後の一人になったとしても、俺は自分を味方する」


やっぱりキャラに魅力はあったと思います。木皿さんの脚本はこれが強みだよね。登場人物がみんな味がある。林家の人々もよっちゃん(岡田義徳)も社長(麻丘ルリ子)も良かったし、あとやっぱり一番ニコとロボ(松山ケンイチ)のコンビが一番良かった。今期だと他にライアーの戸田&松田とか、時効のオダジョ&麻生とか男女コンビが色々あったけど、やっぱりニコロボが一番好きだったなあ。時効は今期はちょっとアレでしたから。最初全然期待していなかった松山君は凄く良かったです。たまにうざいときもありましたが慣れましたし。大後寿々花ちゃんは初めて見た子役さんだったんだけどすごく演技が自然で、これからどんどん出て欲しいなーと思うんだけどこのドラマの視聴率があまり芳しくなかったからやっぱり難しかったりするのかなー。あ、あとやっぱり「ハンバーグさん」放送されないっぽいですねえ。すっごく残念。
そしてニコとロボの別れが、なんというかものすごくありえそうな気がして。プッチーニの回のときはニコはロボが離れていくのが怖くて辛かったわけですが、今は「離れてても大丈夫」っていう確固たる自信があるから、会わないままでいられるんだろうなあと思った。ってことを考えるとやっぱりプッチーニの回は重要だったんだなあ。

地蔵堂がなくなって、私とロボは、出動することがなくなってしまった。私がロボと最後に話したのは、いつもの道で。2人とも、それが最後になるとは、思ってもみなかった。喧嘩したわけでもないし、引っ越したわけでもないのに、なんとなく会わなくなってしまった。たぶん、私たちはいつでも会えると、思っていたのだ。社長とよっちゃんは、流れ星のように私の前から消えた。その後、一度だけロボを見かけたことがある。一心に空を見上げていたので、声をかけそびれた。ロボは、ダイヤモンドでできた星みたいだと思った。どんなものでも、きっとロボを傷つけることは、できないだろう。夜空の星のように、何十年後、私とロボはまた急接近するのだろうか。ロボの言うとおり、私はずっと自分の味方でいようと思う。何故なら、私を救えるのは…………宇宙で私だけだから」