『人の砂漠』

一応これはドキュメンタリー映画という位置づけになるのかな? というわけでストーリー性にはそれほど目新しさはないです。東京藝大云々は置いといて、まあ正直役者の力が大きいなあと。ともすればつまらなくなりがちな話を役者の力で惹きつけてる感じ。オムニバスなので一つずつネタバレしない程度に。


「屑の世界」
どうにもこうにも印象が薄い。他のに比べるとインパクトに欠ける作品だから、というのもあるんだけど……あと一部のシーンで音響が酷いことになってたのがすごい気になった。BGMかと思ったら走る際の雑音だったし。あれはちょっと辛かったなー。


「鏡の調書」
「街を丸ごと騙した老女の話」と言われたらwktkするしかないわけですが、はっきり言ってお話としては大したことないです。街の人をちまちま騙していく婆さんのお話です。この騙し方も特に目を見張るものはないしなー。夏木マリの迫力と不気味さは良かった。


「おばあさんが死んだ」
四作の中では一番面白かったです。やはり室井滋の力がだいぶ大きいわけですが。室井滋の演技はすごかったです、さすがと言わざるを得ない。最近何故かヤンキー役の多い忍成修吾くんも、病弱で屈折した美少年という本領発揮で満足でした。やっぱり彼はこういった役の方が似合うよ。身体を拭くシーンとかも妙な背徳感があって良かったです。


「棄てられた女たちのユートピア
お話のインパクトとしてはこれが一番でかい。小池栄子も脇の「棄てられた女たち」の演技も凄まじくて、それだけで惹きつける力はある感じ。ただねー、お話の落とし所がどうにもこうにも平凡というかありがちというか。これをもうちょっと捻ってくれたらもっと面白くなってたかなあと。しかし小池栄子は見事に演技派女優になりましたねえ。