『Q10』総括

非常に惜しい! ただその一言です。僕も理屈とか抜きして楽しみたいですよそりゃあw 木皿作品だから過度な期待をしてしまうのか、ドラマに対して細かいディティールを求めてしまう僕のめんどくさい性質のせいかは分かりませんが……それにしてもあんまりきれいな脚本とはいえなかったと思う。破綻とまでは言いませんけれども。
一番どうしようもないのがQ10前田敦子)と富士野月子(もうほんとここらへんややこしいのですが、麻由子ちゃんのことじゃなくて未来の奥さんのことで統一しますw)の関係。Q10の記憶はなくなるから、っていう管理人(福田麻由子)の台詞で「あー辻褄が合ったね」とほっとしたのも束の間、結局Q10の記憶が鮮明に残ったまま平太(佐藤健)は富士野月子に出会っちゃったわけで。これって好きの意味合いが変わってくるよね? 結局平太はQ10の面影だとか、この人は自分の未来の奥さんなんだなあとかそういう想いを抱えて月子と付き合うわけだよね? そこらへんがどうにもこうにも釈然といきません。その前の、平田が未来の自分たちを垣間見るシーン、あそこらへんがとてもよかったのでそれで終わらせておけばよかったのになぁと思ってしまいます。まあ忘れるなら忘れるで、すぱっと平太にQ10を忘れさせるのも潔くて好きなのですが……要するにどっちつかずが一番好かんのですよ。
それと周りの群像劇があまりにも統一感なく終わってしまった感覚がどうも……ここらへんを一点のテーマに収束させて、かちっと終わらせていたら本当にすごいドラマになったと思う。木皿さんはそういうことができる脚本家さんだと信じているので、本当にもったいないの一言しかありませぬ。久保くん(池松亮太)は平太にとってもっと大きな存在になってくかと思ったんだけどなー……ここ数回ほったらかしだったし、そんな最終回だけ取ってつけたように病院に出て来られてもーwって感じ。なんとなく久保くんとか、平太の病気とか、そういった設定の処理(というか物語への膨らませ方)に困っちゃったのかなあという印象。
あとなんだか基本的に理屈っぽすぎるんだよな。世界がどーたらとかやたらとスケールがでかいし、もっと感情面に訴えかけるシーンも欲しかったかな。台詞で語らせない場面とか増やしたりしてね。


と、文句ばっかりたらたらと言い連ねましたが、これはひとえに「惜しい!」と感じているがゆえなのですよ。平太がQ10のリセットボタンを押す際の、「また明日」とかはすごくよかったし(その前のクラスメイトたちの「また明日」連呼はちょっとわざとらしかったけどねw)。全体を通してみても、カメラの蓋やギターのピックなどの小道具の使い方も素晴らしくて、そのテンションというかディティールの細かさを是非最終回まで突っ走って欲しかったなぁ、と思うことしきりです。ラストの「この登場人物たちはどこかにいるよ〜」的なテロップみたいな小手先でごまかしてほしくはなかった!
思うに河野プロデューサーは、木皿さんの脚本が全部できあがるまで企画を立ち上げない方がよろしいように思われますw 脚本があまりにもぎりぎりすぎるよw そこらへんも一因かもしれないし(実際一話、二話のほうが構成としてはよくできてたと思う)確か昨日まで撮影してたんだよね。みなさんお疲れ様としか言いようがないです……


キャストは皆さん素晴らしかったです。特に麻由子ちゃんの存在感と、細田くんの怪演(しかしなぜか胸に訴えかけるものがあるという)が印象強かったです。全体的な感想が「よかった、でももったいない」という漠然としたもののためなんだか文句ばかりになってしまいましたが、でも満足度は結構高かったです。同じ学園モノの『野ブタ。をプロデュース』とどうしても比べてしまうんだけどねw あっちはやっぱりリアル高校生のときに見たのも大きかったのかもしれないけどさ。