『アンチクライスト』

奇妙なサーカス冷たい熱帯魚に続き今年四本目のR-18作品。告白といい悪人といい十三人の刺客といい、R指定作品流行ってんのかねー? 変な言い方だけどいい傾向だとは思います。R指定があるとはいえテレビではできないことをぞんぶんにやってくれてて、それに引け目を感じることなく宣伝してくれてるわけだしね。
いやしかしこの映画はR18に相応しい作品でした。初っ端から濃厚なセックスシーン、画面にはモザイク出まくりでなんかシュールだし、オープニングっから小さな子供が悲惨な目に遭う(このシーンがやたらと綺麗で荘厳なんだこれが)ので、冷たい熱帯魚とかが平気だった人でもこれは無理、という人はいっぱいいると思います。特に女の人はだいぶきついんじゃないかな。主演女優の渾身のオナニーシーンも物凄かったんだけど(もちろん色気もクソもあったもんじゃありません。ただひたすらえぐいだけ)後半のアレをアレするシーンがもうね……画面はモザイクいっぱいだったけどあれがなかったらさらに悲痛だったよ。見てらんなかった。


僕はこの監督の作品は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』しか知らなくて、これはすごく好きな作品なんですけど、同じ鬱々とした作品とはいえやっぱり細かく違う点が出てきますね。ダンサー〜が少し希望を魅せては打ち砕き、また希望を見せて打ち砕き、という上げて落とす展開の繰り返しなのに比べ、こちらはひたすらただただ胸糞悪い展開が続くばかり。観てて心に迫ったのはダンサー〜かなぁ。映像的には素晴らしいし、テーマはちょっと難解で僕には理解しづらいんですがその挑戦はすごいと思うけど、お話として面白いかどうかはまた別かな。
ただ、癒やしの存在になりがちな自然がひどく気持ちの悪いものに描かれてたのは非常に良かったです。「澄んだ青空」「沈む夕焼け」で安易に感動するさせるの大嫌いな人間なのでwいかに人にとって容赦なく、気色悪く、おぞましいものかを、あくまで自然を美しく撮ることで説得力を増させて描いてたのはほんとに素晴らしい。アニメもドラマも映画もそうなんだけどさ、綺麗な自然ばっかり描いてちゃやっぱり面白くないですよ。汚いものを踏み潰して綺麗な物だけ見ようとしてる気がすごくしてならない。そこをきちんと描き切ってたのはさすがでした。
しかし鹿がめっちゃ怖かったよwww 動物愛護団体に訴えられてもおかしくないレベル。