「THE有頂天ホテル」登場人物別考察編

THEがザじゃなくてジじゃないかという論争はまぁほっといて。


いやあ、面白かった! 登場人物が多いでしょ。そういう映画って散漫になって、グダグダになってラストで「は? なんか辻褄合わなくない?」と思うことが多いんですけど、そこはさすが三谷幸喜! ラストへ向かってのみんながまとまってゆく展開はすごかった。2時間があっという間だったよー。

というわけで、以下はかなりネタバレ含みます。観に行く予定がある方は見ないほうがいいですよー。





(以下ネタバレあり)
かなりストーリーに触れ込んでいるので、気をつけてください。とりあえず見所は異様に多い登場人物。ということで、登場人物一人ずつ語っていきましょう。どっかで見たような構成だとか言わないでね。


<ホテルアバンティ従業員>
・申し分のない副支配人・新堂平吉(役所広司
役所さんってコメディもシリアスも器用にこなせる俳優さんだと思うので、この役ははまり役。ただ、器用貧乏な感じもしなくもないんですけどね……実は。歌が下手だったり字が汚かったりと、結構抜けてるのが面白かったです。


・議員の元愛人、今は客室係・竹本ハナ(松たか子
松たか子、見たの久しぶりだなあ。最初は寝る時間や食べ物に厳しかった彼女が、最後はおおらかな気持ちになってたのが印象的でした。関係ないけど太郎君っていくつなんだろ。気になりました。


・歌を愛するベルボーイ・只野憲二(香取慎吾
香取君は「西遊記」みたいに熱血漢な役より、こういう自然な役のほうが合ってる気がします。彼がいろんな人に(無理やり)あげたアイテムが、最終的に彼の元に戻ってきたのには「おぉー」って感じ。


・アシスタントマネージャー・矢部登紀子(戸田恵子
いつものようにはっちゃけた役ではなく、今回は落ち着いた役。思ったより体を張ったギャグとかはなかったものの、彼女と役所さんのコンビは面白かったです。しかし、本当戸田さんは背がちっちゃいですねー。


・怪しい、料飲部副支配人・瀬尾高志(生瀬勝久
こういう嫌な役だけど、どこか抜けているっていうのは生瀬さんお得意ですね。だけど、思ったよりは見せ場がなかったかも……会話のテンポの良さはさすがといった感じでした。


・筆の達人筆耕係・右近(オダギリジョー
出オチキャラその1。なんじゃいあの髪型は。どんなに筆を変えてもちっちゃくしか「謹賀新年」を書けないのは面白かった。何だかんだ言って、最後には鹿の被り物してパーティに参加しているのは可愛かったです。


・ウェイター・丹下(川平慈英
騒がしい役です。よく喋るし。動き大げさだし。足タップしてるし。声大きいし。顔濃いし(最後関係なし)まあ最後は恋人と無事結ばれることが出来て、おめでとうございますとハッピーエンドでした。


・客室係・野間睦子(堀内敬子
この人初めて見るなーと思ったら、どうやら舞台役者さんのようで、映画はこの作品が初めてだそうです。話を聞かせたい彼女と、別に話に興味のないハナとのやり取りは面白かった。


・ホテル探偵・蔵人(石井正則
うーん、実は彼、あまり好きじゃなかったりするんですよね……役柄は結構重要だったりするんですけど、その割には見せ場なかったし。しかし、彼を見たのは久しぶりだなあ。古畑には出てたようですが。


・能天気な総支配人(伊東四朗
出オチキャラその2。予告を見ていて彼が顔を白塗りにすることは知っていたんですが、彼が出てくるたび笑いが起きてました。さすが伊東さんって感じで、本当面白かったです。でも何で彼だけ名前がないんだろ。


<カウントダウンパーティーのショーに出演する芸人たち>
・一九分けの芸能プロ社長・赤丸寿一(唐沢寿明
出オチキャラその3。あの不自然な一九分けにはなんの意味が……最初誰かと思ったよ、もう。彼はラストは従業員みんなに逃げられたってことなのかな? 不幸な末路を送った人物のうちの一人ですね。

・不幸せなシンガー・桜チェリー(YOU)
最初のキャスト紹介で「ゆう」と下にちょろって書いてあったのに不覚にも「ぷっ」(弱い……)歌はさすが、うまかったですねー。エンディングは彼女の歌で締めてたし。不幸せな割には結構したたかな役でした。あれ下手すりゃ犯罪だぞ。傷害罪と窃盗罪。


・スパニッシュマジシャン・ホセ河内(寺島進
うーーん、寺島さんということで、もっとヤクザな役かと思ったんだけど、意外に見せ場なし。「キレると手がつけられない」って設定がちょっともったいない気もしたり……って、何様のつもりなんだって怒られそうですが。


<ホテルアバンティを取り巻く人々>
・人生崖っぷちの汚職国会議員・武藤田勝利(佐藤浩市
こういうワルな役なのに、ちょっと天然入ってる、っていう役が佐藤浩市にぴったりでした。ハナが元愛人だったっていう設定がちょっと生かされてなかった気もしたんですが、カッコよかったからいいや(何じゃそりゃ)


・議員の秘書・神保保(浅野和之
最後にはキレちゃうんだけど、まあしょうがないよなあ。むっちゃんにいいように振り回されてたもん。最後は篠原さんとくっついたんでしょうかねえ。落ち込んでいる彼がくねくねを見て笑うシーンは良かったです。

・副支配人の別れた妻・堀田由美(原田美枝子
原田さんがえらい綺麗でした。まともな役は彼女と登紀子ぐらいかな? でも最後には右近の「謹賀新年」に手を加えたりして、大活躍。ちなみにダブダブもそれに貢献したってことで、大活躍。


・マン・オブ・ザ・イヤー受賞者・堀田衛(角野卓造
この映画で、一番振り回された人じゃないでしょうか。しかも全部空振りっていう。あの待ち受けは、別に彼女は悪意を持って取っておいてあるわけじゃないのに……という勘違いがここにも。


・神出鬼没のコールガール・ヨーコ(篠原涼子
いやー色っぽくて綺麗でした。下着姿も目の保養、保養。彼女もコメディ、シリアスを自由にこなせる器用な女優さんだよなあ。でも実はコールガールの意味がよく分かってなかったりする。だめじゃん。


・死にたがる演歌歌手・徳川武膳(西田敏行
きっと気づかないうちにアドリブとか連発してるんだろうなー。西田さん、こういうコメディはお手のものですね。最後は「お前の歌なんか誰も聞きたくないんだよ!」と言われて、また死にたがってました。しかし、あのお腹はすごかった……


・演歌歌手の付き人・尾藤(梶原善
最初誰かと思ったよー。一瞬アンガールズの片割れ(どっちだよ)かと。そういやスピードワゴンの小沢さん(甘い言葉を言う方)と間違えてた人もいました。三谷作品の常連さんですね。


・事故に遭った大富豪・坂東健治(津川雅彦
うーん、ちょっと出番が少なくて残念。もっと面白いところを見せてほしかったな。さすがに存在感はばっちりでしたが、ちゃんと顔を出してたのはほんの数分だったような……で、あの耳は偽者ですよね?

・耳の大きな男・坂東直正(近藤芳正
紹介が「耳の大きな男」だけっていうのがすごい。見た目は猿みたいでした(すいません、近藤さん)しかし、なんでわざわざケータイにイヤホン通して喋るんだろ……そして、ニヤニヤしすぎです。

・謎のフライトアテンダント・小原なおみ(麻生久美子
あ、三日月さんだ!(by時効警察)でも、右近との絡みはなし。しかし、彼女の正体にはまったく気づかなかったので、びっくりです。だってきちんとしてて、部屋を散らかすようなイメージじゃなかったんだもん、と言い訳。


あー長くなってしまった。とにかく伊東四朗篠原涼子、そして佐藤浩市がオイシイ役で、印象に残ってます。ちなみに「あ、こんな人も出てたんだ!」というキャストも何人かいました。阿南健治田中直樹八木亜希子矢島健一山寺宏一(ダブダブの声)清水ミチコなどなど。確認できたのはこれだけですが、きっともっといるんだろうな。あ、高島彩は特集やってたのを見て分かりました。総支配人を見て「キャーー!」って叫ぶ役ですね。

うーん、これはもう一回見直してみたい。新たな発見があるはずだし。DVDも借りちゃうだろうなあ、きっと。


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