「すいか」最終回

すいか 最終回「彼女達が分かれる理由」
あーあ、終わっちゃった。何気に一番楽しみにしていたドラマが。


やっぱり、名作だなこれ。本放送は3年前ということで、僕は中学2年生だったんですが、初見のときとは随分受ける印象が変わっていた感じがします。もちろん初見のときもすごく面白かったんですが、やっぱり感受性が強くなってるのかなあ。
野ブタ。」のときみたいに台詞をまとめたかったんですが、まぁさすがにそこまで時間がないので。つっても、長いんですけどね! うまくまとめられなくて、時間が結構かかってしまいましたよ。


・今日の基子(小林聡美
小林聡美はコミカルな演技もシリアスな演技も、充分に演じきれる女優さんだということを再確認。でもなんか役柄的に「今期を逃した40間近の女」の役がいっぱい回ってきそうな予感。
馬場ちゃん(小泉今日子)が飛行機のチケットと買い物メモを見せて、「どっちを取る?」と訊いたとき、「これ買わないと、明日の朝みんなが困るから」と言って買い物メモを取った基子が潔くて、カッコよかった。
馬場ちゃんとの会話の中で、「ハピネス三茶」での生活の映像がフラッシュバックしてきたのにも泣けたけど、もっとグッときたのは、松茸の「基子さんの分」ね。ハピネス三茶の人たちって、お互いに干渉しすぎず、でも思いやりあっていて、そしてそれがさりげなく表現されているのがすごくいい。ありがちなドラマだと、主人公がすごくお節介焼きで、周りの人たちの問題に首を突っ込んで解決させる、とかよくあるけど、そんなのなくてもお互いが信頼しあっている、とあれ*1だけで表現させられるんだから、やっぱりこのドラマってすごい。


・今日の絆(ともさかりえ
ともさかも、小林聡美と同じように、コメディ・シリアスなんでも出来る女優さんですよね。というか、ともさかさんはこの年代にしてはチャレンジャーな女優さんだよなー。小学生役やったり、幽霊役やったり、鼻の穴指突っ込んだり。
あの高校生の通り魔のエピソードはちょっと「ん?」って感じだったけど(あの高校生が金子君にちょっと似てたのは、狙ったキャスティングだったのかなあ)、「近所に住む漫画家が通り魔に遭った」っていう話を聞いた基子がダッシュで帰っていったのは良かったです。
あと、綱吉〜〜〜! 見つかって良かったよぉ〜、ほんとに。綱吉かわいいよ綱吉。


・今日の教授(浅丘ルリ子
教授は本当カッコよかったよなー。多少説教臭くても、ルリ子に言われると「はい、そうですよね!」と素直に聞いてしまいたくなるのが不思議。
大学を辞めた理由は、間接的だがあの飛び降りた女学生のことが原因だった(直接的な原因は、教授がお偉いさんをはっ倒しちゃったから)。ここらへん、甘くない現実が描かれてて、エピソードがほったらかしになっていないのがいいと思う。最後、ナポリに旅立ってしまった教授。あの穴が塞がれてしまったときは妙に感傷的に。
そういや、教授最初はゆかちゃん(市川実日子)のこと「芝本」って呼んでたのに、中盤からは「ゆかちゃん」って呼んでましたよね? そこがちょっと気になった。


・今日のゆかちゃん(市川実日子
ゆかちゃんは本当可愛い大家さんでした。しかしこのハピネス三茶、入居者は女性限定なんだよね? あんなところにチラシ貼ってたら、またおばちゃんから文句言われるぞ。
「死ぬときは野垂れ死にするわ」と、とんでもないことをさらっと言っちゃう教授に、「いやですぅ〜」と泣きじゃくるゆかちゃん。
「約束してくれますか? たとえここから出て行っても、最後は戻って来るって」
子供の時に交わした「ハピネス三茶を出て行かない」という約束は、無効になってしまったけど、教授はそれをきちんと今まで忘れないで守り続けてきたんだから、きっとこの約束も守ってもらえるよね。


・今日の野口君(金子貴俊)
金子君はやっぱり最後まで女性的なしぐさが抜けなかったけど(最近はドラマ慣れしてきたのか、そうでもないよね)逆にそれが中性的な雰囲気を醸し出していて効いてました。絆との会話で「寒い所って大丈夫なの?」「実は、それが一番心配なんですよね」とあったけど、野口君てなんか冷え性っぽいもんね。お腹とかすぐ下しそうな気がする。
この2人が、最後はラブラブになって円満解決、なんて終わり方をしなかったのがこのドラマらしいと思いました。こういうのを恋人未満友達以上、って感じっていうのかな。
あ、だけど、教授のときのように気になったところがもうひとつ。最初は絆にタメ口で話してたのに、いつの間にか敬語で話してた。まあ、そっちのほうがしっくりくるんだけどさ。


・今日の間々田さん(高橋克実
間々田さんはいつもストーリーには深く関わって来なくて、いつも馬鹿みたいなことやってて、そんでもって口が軽くて超トラブルメーカーなんだけど、彼のおかげで少しブラックっぽい回も(前回や前々回)それほど暗くならなかったですね。そして、最後までやっぱり口が軽かった(教授のナポリ行きを伝えたのは彼)。


・今日のお母さん(白石加代子
このお母さんの描き方もうまかったなー。突拍子もない性格なんだけど、細かいところがいちいちリアルだから「こんな母親いねーよ!!」っていう感じにはさせなかったんだよね。ちなみに、この時の白石さんが僕にとっての初見でして、そしてそれ以来どんな白石さんを見ても「『すいか』のお母さん」というイメージしか湧かなくなってしまいました。
先週までのガンはどこへやら、すっかり元気になっちゃって、お母さん節大炸裂。
「若い娘(基子)がブラブラブラブラして!」「あらそう、もう34なの……」「(バーテンを指し、泥舟ママに向かって)息子さん? 独身? うちの基子なんてどお?」……さすがです、お母さん。


・今日の馬場ちゃん
一生懸命走る馬場ちゃんはカッコよくて、色っぽくて、すごく綺麗でした。これと「マンハッタン・ラブストーリー」はキョンキョンの魅力が凝縮されまくった作品だと思う。
はいり刑事との掛け合いは面白かったなあ。まさか、ここでミッシェルの目が出てくるとは! それで逃げ延びちゃう馬場ちゃんもおかしい。マジックで逃げてるし……はいりの時は失敗してるし……でも何気にはいり、夢叶えちゃってるし……
馬場ちゃんが「ハピネス三茶」に来たとき、家の中を見回すんだけど、このときの小道具がよく効いてたと思います。知恵の輪、亀太夫、すいかの墓、制服、馬場ちゃんからの手紙、ミッシェルの目……今までの物語を彷彿とさせるような演出がさすが。そして、その場所に馬場ちゃんがまったくそぐわなく映っているのもすごいなあ、と思いました。
最後の「白菜、エノキ、しいたけ、しらたき、春菊、豆腐」*2と呟きながら、光の中へ駆けて行く馬場ちゃん。これって、馬場ちゃんが自首する道を選んだ、って思っていいんだよね?


・今日の泥舟ママ(もたいまさこ
今日の帰って……ではなく、「帰らないでちょうだい」は、馬場ちゃんへ。もたいさん、それ以外は口に出さずに表情としぐさだけで表現するの、大変だっただろうな。ご苦労様。


長くてすいません。でもまだちょっと書き足りないかも……(ぉぃ
繰り返し言うけど、やっぱ「すいか」って名作。ここまで「普通が一番幸せ」「でも、幸せはそれから離れている人しか気づかない」ということを上手く描けた作品って他にないと思う。「野ブタ」も名作だったけど、もしかしたらこのドラマとは対象の位置にあるドラマなのかも。キャストも内容も。「野ブタ」は心をぐさぐさとえぐり、「すいか」はじわじわと染み入る、といった感じでしょうか(「すいか」もえぐられるときももちろんあるんだけどね)。
今度こそ完全保存版にしようと思ってたんだけど、間違えて潰しちゃいました……鬱。DVD買わなきゃ!……とは思うんだけど、お金がないのです。ううう。「ケイゾク」も「野ブタ」も、DVD買いたいんだけどなあ。

*1:フラッシュバックと松茸

*2:かなりアバウト