『ゼロの焦点』

面白かったです。面白かったんだけど、正直2時間ドラマでも良かったんじゃないかなーという印象。そして正直前半はちょっと退屈です。犯人当てという点に関しても特に驚きはなし。むしろ面白いのは犯人が分かってからかなあ。
演出は良かったです。というか人が死ぬシーンがやたら怖い。もはやホラー。ただ、崖のシーンがかなり陳腐。合成丸出し。あれは正直ないなあ。まだドラマの方がましなんじゃないか?


キャストに関しては中谷美紀がダントツ。やっぱり彼女は人を食う演技をするなあ。美味しいシーンを持っていってる上、演技にかなりインパクトがあるので、主演のはずの広末が霞む霞む。
木村多江も出番が少ないながら、やっぱり上手いなあと。相変わらず薄幸な役柄でしたがw
その二人に比べると広末は正直頭一つ落ちる印象。嫌いじゃないし結構演技も上手いとは思うんだけど、泣くシーンで泣けてないのは結構痛い。


あと中島みゆきの主題歌がえらいインパクトありました。なんかますますドスの利いた声になってたし。


以下ネタバレ。


演出で一番いただけなかったのは、やっぱり崖のシーン。西島秀俊が死ぬ場面はなんであんなに安っぽいのかと。「うわああぁぁぁ〜……」はちょっとないよなあ。他の演出は全体的に好みなんだけどな。宴会のどんちゃん騒ぎ→殺人事件が!の流れも良かったし(杉本哲太の演技怖すぎ)あとは佐和子(中谷美紀)が久子(木村多江)を殺した後の、車の中からのアングルも妙な緊張感が出てたし。
しかしあのシーンの母子手帳には佐和子と一緒に「うわああ……」となってしまったよ。


ただ鹿賀さんが妻をかばって罪をかぶるのが、そこまで愛情があったようには見えなくてすごい違和感。あのシーン別にいらなかったような。
逆に良かったのが禎子(広末涼子)が「マリー!」と叫んだシーン。いやあいい復讐方法だよねえ。そしてそのあとの中谷美紀の演技が素晴らしい。この映画の主人公は中谷美紀です。禎子はストーリーテラー的位置にいすぎてて印象に薄いんだよなー。あとあの情報だけで事件の全貌が分かっちゃう禎子さんすごすぎ。久子の手と英語だけで犯人と結びつけちゃうのも然り。


ところでタイトルはなんで『ゼロの焦点』なんだろう。原作読めば分かるかなー。